MUSA PARADISIACA

• 05/15/03:56

薄弱危険回避能力

　この選択は危険極まりない。
　それでも、と自身に問う。何度も、何度も。
　そうして、結局一つの答えを出した。

　この選択は危険極まりない。
　それが何だというのだろうか。
　危険だと、言うのならば。

「私が君を、守れば良いだけの話しなのだし、ね」
　言って、笑うと彼は数度瞬き、眉間に皺を寄せた。可愛いね、と言って額に口付けると、手を強く握り返された。
「守るよ。だから、君はただ幸せでいてくれれば良い」

　この選択は危険極まりない。
　彼は私の事なんて覚えてくれていちゃいないし。
　私は本来の力の数分の一も出せぬほどに弱体化してしまったし。

　なのに私は、これぽっちも後悔していないんだ。
　当たり前と言えば、当たり前なのだけれど。

　だって今、私は彼の隣に居て、彼は私の隣で笑うから。

• 11/08/00:19
• ESCHATOLOGY（SS）
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